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Familiar Hour Project
Diary From New York
Date 4 June (Tue) 9:00-12:00
Name of School Admiralty Primary school
Address 11 woodlands Circle
Singapore 739807
Person To Contact Ms WEE.SUAT.HOON.SHIRLEY
# of Participants 15 pairs (50 perticipants)
 
Dairy
シンガポールに辿り着いたとわ言え、最初の日以降は宿泊先も、ワークショップの予
定も確定しておらず、翌日の月曜に決まりました。既にかなり図々しくなっており、
事前にホームステイ先が決まってなくとも、とにかく先に進んでみればなんとかなる
だろうと言う行き当たりばったりな状況に慣れており、(ただ、正直、凄く疲れてて、
もうこの国を早く終らせたい気持ちでいっぱいだったと言う事もあります。)ダメだっ
たら野宿でも何でもと、そんな気持ちで月曜に学校に行きました。
学校は夏休みに入っており、生徒もおらず、閑散としてはいても、そこは熱帯の国、
暑いので何故か存在感があります。始めてシャーリーと言う美術の先生と会いました。
今回の担当してくれた人の中で一番若く、まだ26歳というのに、5人いる美術担当
教師群の責任者で、とってもしっかりした、さばさばした中国系シンガポーリアンで
した。シンガポールはご存じかもしれませんが学校の校舎を節約するために学校を2
交代制にしており、朝から昼までと、昼から夜までと、校舎を多く建てず(つまり国
土的にも小さいですからそんな所にもムダを無くそうと言う態度が徹底されており、
国のシステムについては多くの点で非常に近代化されたそれは、間違いなく都市が持
つ機能を模倣しているようでもあり、アジアの中に合っても何と言うのでしょうか、
アジアの他の諸国が持つ、あったかいから何にもしなくったって、なってる果物があ
れば生きていけるもんねと言う態度とは明らかに一線を画っしておりムチャクチャ働
き者の多い国です。都市の構造が非常に思想的で、建設的で、リークアンユーって凄
いなあと真直に感じられます。見る人が見ればとっても魅力的でしょう。)都市の人
がやたらに個人主義な欧米と違って、日本もそうですが、一定の距離を持ちつつもちゃ
んと目の前の人の要求をその人の立場になって考えてくれる姿勢が全体にあって、言
葉はそんなにダイレクトに揺さぶるような(例えば欧米の学校では「私達の学校を受
け入れてくれてありがとう」って言うものの、それは時として非常に表面的な印象で
聞こえてくるのですが)ここの人達はそんな言葉は何もなく、清々しいまでに何の優
しい言葉もないのですが行動で示してくれる確かな熱心さはとても暖かく、例えば最
初に私の持っていた荷物を運ぶキャリーがある1人の男の人が持ってもらっている時
にたまたま壊れてしまったのですが私はそれを何にも気にしなくて良いと伝え、(だっ
て、日本で拾ったものだったんで…)何の意にも介してなかったのですがその人は本
当にすまなく思ったらしく、暫く席を外している間に新しいものをまた購入してきて
くれ、そういう些細な事が至る所で見受けられるんです。それは本当に私を歓迎して
くれている言葉より確かな姿勢であり、この期間に出掛けていた場所の中でそこにた
どり着けた事が嬉しくもあり、これなら今が夏休みにあったとしても学校が始まる7
月にシャーリー達だけで再度行なってくれると言う約束を確信を持って信じられまし
た。それが何より一番嬉しかったです。

 翌日、学校に行くと既に15組の家族が待っており、ワークショップを始めました。
私自身ワークショップにはもういい加減慣れっこになっている部分もあったし、人が
協力的+比較的器用な人達(人種的に)だったのでものすごくスムーズに快適に滞り
なくワークが進んで行きました。カメラも学校側のがデジカメで4台、ビデオカメラ
で1台、私のカメラもあわせると8台くらいで、なんか運動会なみな撮影モード。事
前に中に挿入する写真を撮ってきてくれる人もおり、その写真もキチンと規定を守っ
ていてくれて、「やっぱり、英語で話した言葉はあってたんだよねえ。なんで同じ言
葉を使って話しているのにイタリアは80%以上の人が間違えているし、英語圏のアメ
リカですらももっと間違いが多かったのに対して、違うぞ。とってもこの状況は……」
と呟いてしまうのでした。私が一つ一つの家族を回って説明をして行くと、皆さん口々
に「この旅はどうでしたか?」「何組の家族が参加したんですか?」「いつまでシン
ガポールにいるんですか?」「観光は行った?」「ちゃんと誰かついって行ってくれ
ている?」などと似たような事を繰り返し聴かれとってもフレンドリー。他の人がで
きるまで待って、間違っている人も正しくできるまで待って。そんな形で進めて行く
ので間違いは少ないし、結果的には平均的に正しい形が作られて行きました。それに
しても本当に真面目で。「中に入れるのは何か各家族の『思い出の品々』を入れて下
さい。例えば、家族で一緒に行った映画のチケットの半券や、お子さんのはえ代わっ
た歯とか、おばあさんの髪の毛とか、何でも良いんです、特別なものではなく、あり
ふれた家族の日常を現すものを挿入して下さい。」と伝えると、自分の髪の毛をおも
むろに切って入れるお母さんとか、駐車パーキングのチケットとか当日その場で話し
たにもかかわらず、何かしらの物を用意してくれて、それに合わせて学校側もキチン
と飾り物を用意しててくれたのでそういったものも入れながら、改めて感じたのは、
このワークショップは親子で参加してこそ楽しめる価値が広がるんだなあと思いまし
た。家族で協力しながら行なう。都市の中の家族は共働きが多く。ウイークデーの昼
から来てくれるのは困難なのに、こうやって来てくれる。平均的にシンガポールの人
達の取り組みは強いものがありました。元々、シンガポールにはたった10通
のe-mailしか送っておらず、それなのに3つの学校が参加を申し出てくれ、(最終的
には色々あって1校の参加になってしまうのですが)それでも、随分効率が良い事は
確かで苦労して学校を集めた場所は、苦労してワークショップを行なう事が多く。逆
にあんまり苦労しないで人が集まったり、参加が促せた所はワークショップもスムー
ズで、もし、シンガポール中の学校に送ったらそれはドイツの非ではないだろうと、
(ドイツは全ての公立の小学校にe-mailと郵便で案内を送りましたから)国による個
性のギャップをまざまざと感じずに入られないのでした。
ワークショップはお昼ご飯を学校側が用意してくれたので皆で食べて終り、シャーリー
と、翌日には観光名所「サントーサ」に連れってってもらう約束をしてお別れしまし
た。

シンガポールの空港で何人かの人に見送ってもらった時に、「どこが一番面白かった?
」って聴かれて正直に「ワークショップ的に成功したのはドイツ、人間が面白かった
のがイタリア、シンガポールは人がとってもフレンドリーでワークショップがとても
上手くいった。でも結果が都市によって違うから一概に言えない」って答えると、ひ
とりのホストファミリーに「そう、展示の時に『各国によってまったく結果が違いま
した。でもそれは、もし全てが同じ結果を想定して生じさせたいのなら、私は日本で
全てを行なえば良い事の話で、世界の国々が違うのが今回私が提示したい結果の一つ
なんです。』って君は話せば良いだけの事だよ」って言ってくれたのが、そのまま本
当に私の気持ちを代弁してくれていたので驚きました。この人は色んな所に留学や旅
行やで出掛けているのでそういう私の気持ちが解ったんだと思いつつ、それが多くの
人に解ってもらえると良いなあと思います。
ワークショップが4つの日本以外の国でやれたのはまったく何にもない所からの私の
アプローチのみで始まり、やる過程でもやっている間でも様々な事が起こって、この
半年でいきなり急劇的に学びました。多くの事を誰にも話す時間もないまま自分で決
めて、流れを作ってそこに飛び込むと言う作業はプールに飛び込む感覚に似ています。
ドキドキしているのですが、そこに飛び込まないと何も始まらないと言う。飛び込む
時には全身でそこを信頼するしかなく、その先が水である確証を半ば疑いながら飛び
込まないといけないようなプールでしたが、とびこんだ4つのプールは幸いな事に全
部水でした。(せいぜい濁った所が合ったくらいでしょうか濁ったなりに面白かった
と言うことで詳細はもう言いませんが。)


 余談ですが。日本に帰国するとスリランカ人の親友から手紙が届いており、スリラ
ンカではもう18ヶ月雨が降っておらず、ココナッツの木が枯れたり、深刻な状況だと
言ってました。多分、経済的な問題よりも環境的な問題を解決するために世界は色ん
な視点で変わって行くような気がしています。またそうでなければとても深刻な状況
が訪れると言う気がします。別にそれに向けて募金運動や慈善行為をしたいと思う訳
ではありませんが、自分がこれまで見たり感じたりしてきたものを一旦ここでこの機
会を通して提示していければ素晴しいと思っています。多分、少なからず、私の企画
に参加してくれた約500組の家族の人達もそう思ってくれているのだと思います。そ
の気持ちを大切にし、単に自分の展示として(形式的には個展と言う形を取ります)
でなく、ささやかな日常の平和を願う人々の気持ちを現すような……そんな枠を皆さ
んにお見せできたら良いなあと切に思います。

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