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Familiar Hour Project
Diary From New York
Date 15 May
Name of School Lorraine Hansberry - PAL After School Program
Address 190-20 109th Road Hollis, New York
Person To Contact Ms Valerie Littleton Cohen/Program Director
# of Participants 25 Pairs
 
Dairy
アメリカでのワークショップは最初7つぐらいの学校から引き合いがあったものの、最終的には2校に落ち着いていました。一つはアフリカンアメリカンのほぼ100%を占める小学校でした。担当者のバレさんと会ってみると本当に気さくなビックママと言うような印象の人で、彼女はそのAfter school programの責任者でもあり、また今回の計画を非常に喜んで受け入れてくれた数少ないアメリカ人でした。初めに挨拶をすると、「私達を受け入れてくれてありがとう、貴方の様な人が世界中のシステムの違う電車に乗り継ぎながらこうやって1人で各校を回っているなんて凄い事だわ」と手を差し出されました。子供達は各クラスに別れてパフォーマンスのグループや美術でも立体を作る子供や平面をやるグループなどに別れていて、宿題をしている子も中には居ました。普通のクラスではないので堅苦しい感じもなく凄く自由に半ば遊んでいていいような雰囲気でした。バレは打ち合わせの時も「貴方がもしNYでこの展示を開くんなら協力するわ」「子供とその両親の写真はもし今回運んで行くのでなければ後日各自に写真を撮らせるから、それでいい?」などと非常に協力的で、「比較的年令の上の子供にその子供の日常をスライドで撮影して欲しい」と頼むと「じゃあ、私の息子と娘にやらせるわ」帰りもご主人が仕事帰りにバレのオフィスに立ち寄り、最寄りの駅まで送ってくれるなど、家族の絆がとても深く、その上、家族ぐるみでサポートしてくれようとしていました。ご主人も同じソサイエティーで働く方のようでした。さてワークショップの当日ですがまた同じ時間に教室に行くとバレはすまなさそうにしており、「子供の何人かが牛乳パックを忘れちゃったのよ」と言うのでそれでも後日誰かが同じワークショップを開いてくれれば良いからと言う事で始め、バレは実際にはあらわれず、その部下のトレーシーが担当してくれたのですがまず初めに自己紹介と簡単な計画の趣旨を話しました。ビデオを回していたのですが、多くの子供の感心はそのビデオ撮影とカメラに集中し、カメラの前で踊ってたり、なんだか群がっていました。それで、ワークショップをその時に実際に出来た子供の数は20人中4名、その子供達しか牛乳パックを持ってきていなかったのです。仕方ないので牛乳パックの型の作り方のみを他の子供にデモンストレートで見せる事のみにその時の目標を定め、ハサミでちょきちょき切り始めました。その間も子供達はビデオカメラの前で相変わらず飛んだり跳ねたり大変な騒ぎで、とうとうトレーシーがおこりだし、「そんなに騒ぐんじゃないわよ!何でカメラの前に居るのよ!」と言うと、生徒の1人が「だってカメラの撮影をしてあげないと……」と言って一生懸命カメラ撮影を担当したいとアピールしていました。「誰をカメラの撮影担当者にするの?」と聞かれて、「私は誰にも頼んでないし、固定しておけば誰の助けもいらないよ」と言うと「ええ??やりたいのにぃい」と懇願されつつもカメラの前の子供は席に戻されました。ただし1人の子供にはコンパクトカメラの撮影を頼みました。その子供は一通り撮影をして、一本フィルムを使うと「じゃ、帰ります」と帰って行きました。トレーシーが何かの用事で席を外すと「私はちょっと教室の外に行ってきます」と外に行きたがる子供が急増し、何時の間にか半分くらいの子供が外に出てしまった。その後でトレーシーが帰ってくると「何で席から外れるのよ!」と怒りまくり、何人かを「もう帰っていいわよ、バ??アイ」と帰されてしまわれました。「エエ??、勝手に帰さないでよお」と内心思いつつ、私にはその時しか子供達と接する時間がないのでうるさくてもいいからそばに居てくれればいいのに、そしたらまだ後で作り方を各自で解るのになあと思っていたのですが、先生がそう思っているならしょうがないよなぁと見ていました。そのうちにもうひとり先生が現れて彼女の名前を忘れてしまったのですが、彼女の動きが実にテキパキとしていて素晴しく。「貴方がいなくても私が後で生徒と一緒に必ずやるから、安心してね」と頼もしく言って下さり、本当に彼女が救世主の様に見えました。その長い爪でボンドに流し込んだ絵の具をマーブリングさせ、鮮やかに仕上げてくれた時には唯一のここでの作成に関しての理解者と見受けました。5時半になるとトレーシーは「じゃあ、時間だから帰るわね。貴方に会えて良かったわ」とあっさり帰ってしまい、それとほぼ同時にバレが来て「貴方を駅まで主人が連れて行くわよ」「すぐに?」「すぐによ」と、私はその日次のワークショップの開催場所に移動せねばならず、6時半の電車に乗る事になっていたのですが、そのケアの為、彼女はまた送ってくれようとしているのでした。私は急いでビデオを片づけて用意をし、生徒に挨拶をし、もう1人の先生にお願いをしてそこを立ちました。慌ただしい別れでした。先生も「頑張ってね。次の移動先でも上手く行く事を祈ってるわ、have a nice trip!」と握手をして、教室を後にしました。ご主人の車で駅に移動する道すがら私はバレに「お願いだからまたやって下さい」と話し、「あの彼女(後から来た先生)が適任だから、大丈夫よ」と混雑する駅に着くと、「下でチケットを買って上に行くのよ、貴方に会えて良かったわじゃあね」と助手席から振り向きざまに言われて、電車の時間も混雑具合も良くわからないまま、ジャマイカ駅で別れました。
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Date 16 May
Name of School Studio Art TeacherKnox School
Address 541 Long Beach Rd.St. James, NY 11780
Person To Contact Ms Heather Engle
# of Participants 50 Pairs
 
Dairy
セントジェームス駅にはヘザーさん(学校の先生)が迎えに来ており、挨拶をすると、「ごめんなさい、時間がなくてボンドを買えなかったの、これから一緒にホームデポに行って買ってから、ご飯を食べるのでいいかしら?」と言われ、「もちろん」と車に乗り込み、近くのショッピングモールへ、どこにいっても似たような店が必ずあるのは毎度の事ながら感心します。ヘザーは育ちのいいお嬢さん的な容貌の人で、物腰もそんな感じでした。学校に至っても寄宿舎制の良家の子女等が通うような学校で、広大な敷地内には馬がいたり、浜辺があったり、制服もブレザーで、学年で色が変わっていたりなど、その3時間前までまるで反対の学校にいた私としては「なんでこんな選択になったんだろう」と、偶然にしては両極端な場所で開催する事が嬉しく思えました。ボンドを購入してご飯を食べた後で、教室で枠の見本を作って、一晩お世話になるお部屋に案内された時には11時を回っていました。なので、疲れもあり、翌朝はワークショップがある一時までは特に何もせず、学校の回りを写真を撮ったり、ビデオに撮ったりしていました。お昼ご飯は制服の上から赤いコスチュームを羽織った学生が給仕をしてくれるパスタとサラダのランチをご馳走になりました。お祈りもあり、生徒が互いに手を伸ばして静かにご飯を食べる様は礼儀作法も身につけさせたいという学校側の強い意識を感じました。お昼ご飯の後でその日の夜ご飯時にちょっとしたパーティ形式で何人かの子供がパフォーマンスをするインフォメーションが流れました。その日が通常クラスの最終日で、翌週からはテストが行なわれ、その翌週から夏休みが始まるというので生徒達は気もそぞろな浮き足だった雰囲気でした。そのランチのすぐ後で、食堂に続くサンルームの中でワークショップは行なわれました。参加人数は25人、人種は様々。日本人の子も何人かいました。ひととうり自己紹介と簡単な計画説明を行ない、やってもらいました。何人かの生徒はそのまま自分でやれるのですが、殆どの生徒はお友達とお喋りをしたり、ただ何かを待っていたりと、騒然とした状況になってしまい、1人1人に対応をして行くものの、話しても解らない人が多く、ヘザーも同様に頑張って説明に走って、なおかつ忍耐強く対応をしてくれているのが解り、25人を2名でケアするのはそんなに不可能なはずではないにせよ、状況は混乱を極めるばかりで、一時間があっという間に過ぎてしまいました。ワークショップに割り当てられた時間は2時間しかないので「本当に私には後一時間しかなく、貴方達と一緒にいられるのはそれしかないんです。お願いです、やって下さい」と半ば懇願に近い状況でお願いをすると、一応腰の重い生徒も動き始め、しかしながらスタートが遅いので、あと、ハサミで切り込みを入れて、ガムテープで止めなければならない箇所をハサミを探すのがおっくうで手で契ってしまった生徒が多く、そうなるとボンドは容易く型から流れ落ちてしまうのでやり直して欲しいというと「そんな事は出来ない」と、そういう人が確実に私が対応しただけで5人以上はいて、そんな有り様で完成に到れるはずもなく、全部で50個のフレームが完成するのが普通なのだが、そこは15個程しか完成せずに時間が経ってしまいました。ワークショップというよりは混乱を極めた戦いのような印象すらあります。全部終って、生徒がいなくなって、(中には丁寧に感謝の言葉を伝えてくれる生徒もいますが)ヘザーと2人でかたずけながら「本当に何て言ったらいいか……」とヘザーも悲しがっていました。残念ながらそういう結果に至ってしまったのですが、ヘザーは一生懸命やってくれて、それに関しては感謝の言葉しかありません。彼女はここで働く前に子供の美術を扱う美術館などの仕事に携わっていた経歴を持つ程、子供達に美術教育を通して何かを伝えたいと思っている今回会った中でも最も意識の高い教師の1人だと思っています。彼女のクラスの中でも生徒にできるだけ自由にやらせたいと言う、だから中にはその彼女の優しさをいい事に堂々と昼寝なんかしている生徒もいたくらいです。今回もそういう姿勢に甘えてしまった生徒の誤解がこのような結果を招いたんだと私は思っています。それも一つの結果としてただ受け止めたいと思います。帰る道すがらヘザーにまた送ってもらいながら、「生徒の写真がもう少しまともなものがあれば(親子でと強調するにも関わらず、友達や、ガールフレンド、果てはお母さんが乗馬している風景なんかを撮ってくる人なんかもいたりするので)私が日本で何とかするから、もう少し頑張って欲しいの」とお願いすると「解ったわ。出来るだけ力になる。」と後日生徒に促している様子のメールをくれたくらいなので、本当に力になってくれている人だとおもっています。
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